2008.4.23発行 vol.274
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■特集企画■
           「天職を探せ」第17回 後編             
       OLから音楽講師・・・そしてベストセラー作家へ
     天の「おぼしめし」を受けとめながら、自然体で生きてきた
           夢みる夢子さんこと山下景子さん
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           「天職を探せ」第17回 後編             
       OLから音楽講師・・・そしてベストセラー作家へ
     天の「おぼしめし」を受けとめながら、自然体で生きてきた
           夢みる夢子さんこと山下景子さん      
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今日は、「天職を探せ」後編をお届けいたします。いよいよベストセラー作
家になられた山下景子さんの考え方、生き方に迫っていきます。

前編をまだご覧になってない方はこちら↓
http://www.pangea.jp/c-press/backnumber/cp-0272.html

【プロフィール】山下景子さん
兵庫県神戸生まれ。武庫川女子短期大学国文科卒。現在神戸市在住。
「北海道・北の賛歌コンクール」「愛知・名古屋マイソング」など。作詞作
曲で数々の賞を受賞。夢子というハンドルネームで、メールマガジン
「センスを磨き、幸せを呼ぶ〜夢の言の葉〜」を発行中。
(メールマガジンは、こちら↓からどうぞ)
http://archive.mag2.com/0000130676/index.html
著書に「美人の日本語」(幻冬舎)、「美人のいろは」(幻冬舎)、「美し
い暦のことば」(インデックス・コミュニケーションズ)、「しあわせの言
の葉」(宝島社)、「花の日本語」(幻冬舎)、「耳を澄ませば聴こえてく
る 音の日本語」(PHP研究所)がある。
今年3月には新刊「ほめことば練習帳」(幻冬舎新書版)が発売。
(詳細はこちら↓のサイトをご覧ください)
http://plaza.rakuten.co.jp/yumenokotonoha/

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● メールマガジン配信からほぼ一年後に出版した本が
26万部のベストセラー!!音楽講師から本格的に著述業へ
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―メールマガジンを配信し始めたのはいつ頃ですか?

◆2004年の5月にスタートしました。そのノートの中身を毎日一語ずつ
配信し始めたのです。

―言葉はどういう順番で選んでいったんですか?

◆あまり考えていませんでした。季節感だけは大事にして選んでいましたけ
ど。今はその日にあったことを調べながら、何にしようか考えたり、その日
自分が出会ったことや自分が思ったことをもとにして選んでいます。

―今はもうノートにためていた言葉はすべて使ったんですか?

◆はい。もうないです(笑)。今は、新たに探したり、いつもいい言葉のア
ンテナをはってストックするようにしています。今季節はずれの内容なら後
にとっておきます。

―毎日配信するのは、けっこう大変ではありませんか?

◆始めた時は、2年分くらいのストックはありましたので、最初は2年をメ
ドにしていました。土日は休みで毎日配信して、2年続けばいいなと思って
いました。

―それで、そのメールマガジンを配信しているところへ、メールマガジンの
読者だった幻冬舎の編集担当者の方からお声がかかったのですね。
どのくらい配信してから連絡がきたのですか?

◆配信して約3ヶ月経った8月の終わりの頃でした。私にしてみれば、スタ
ートして間がないのに、こんなに早く来るなんて・・・幻冬舎さんも名前は
知っていましたので、本当かな〜?という気持ちでした。

―出版をしませんか?というお話しだったのですね?

◆はい。「本にする予定はありますか?」と聞かれて、「いや、ありません」
と言うと、「ぜひ、うちで本にしたいのですが。」と。「それならぜひ。喜
んで」という形でした。
また、「一年分くらいはあるんですか?」と聞かれ、「メールマガジンとし
ては今まで書いた分しかありませんが、言葉は一年分くらいならあります
よ。」と答えると「それをもとにして書き下ろしていただけませんか?」と
いう話になったのです。

―その辺の経緯はサイトでも詳しく紹介されていますよね。出版されたのは
翌年でしたね。

◆はい。でも年末には書き上げました。

―一冊目の「美人の日本語」には、たくさんいい言葉が載っていますよね。
この本はベストセラーと伺っていますが、実際はどのくらい売れたので
しょうか?

◆26万部売れました。

―26万部ってすごいですよね。どのように売れていったのでしょうか?

◆割と早い段階から重版がかかりまして、幻冬舎さんも力を入れてくださり、
広告をボンボンと大きく出してくださいました。テレビ、新聞、ラジオから
も取材の依頼が次々と来ました、特にテレビで紹介してくださったのは大き
かったですね。

―取材の方たちは、この本のどこに注目されたんでしょう?

◆一日一言というところでしょうか。日付にからんで、みなさん自分の誕生
日を見るみたいです。そういう使われ方をするとは、全く意図していません
でした。

―ある種占いの感覚に近いですね。どっから見ようかと思ったときに、私も
自分の誕生日から見ました。

―この本は本当にいろんな言葉があってとても勉強になります。一日ひとつ
勉強していくと、自分の語彙が増え、しかも昔から使われてきた日本の綺麗
な言葉ばかりで、本当に日本語美人になれますね。
この本がベストセラーになり、そこで人生変わりましたか?

◆私自身はそんなに変わったつもりはないですが、変わったといえば変わっ
たのかもしれません。音楽講師との両立は難しく、身体がきつくなりました。
音楽講師の仕事を減らすのは困ると言われ、メルマガも続けたいし、増える
出版の依頼も受けたいし。本当に音楽講師と著述業の両立に悩み始めました。

講師の仕事は、人が相手なので手抜きはできません。子供たちにも迷惑をか
けると申し訳ないので、そろそろ考えてなくてはと思い、昨年の5月に辞め
ることにしました。

毎日決まって外に出ることはなくなりましたので、生活スタイルは変わりま
したね。自分で時間を管理しなければならない生活になりました。

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●著述業は天命そして「おぼしめし」。
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―今の著述業は天職だと思われますか?

◆なだらかに変わっていったので、音楽講師のときのように、「あぁ天職だ」
と思った瞬間はありません。音楽講師もずっと続けていると、この仕事だっ
たら、私の代わりはいると思うようになりました。どちらかを選ぶというと
きに、今自分が書いていることは、自分にしかできないわけだから、今しか
できないのは、私にしかできないのは、著述業の方だと思いました。それで
音楽講師を辞める決心をしました。

読者の方から、本の感想をいただく中で、「本によって救われた」との声な
どをいただくと、天職というよりは天命かなと思います。

―なるほど!天に命じられて、そのように自分はなったということでしょう
か?

◆私は特定の宗教を信心しているわけではなく、昔の人のように、八百万の
神様なのですが、人間の計り知れない力や、運命的なものは全て「おぼしめ
し」として受け取ることにしています。そういう意味で、私の言葉の中で言
えば、「おぼしめし」という感じでしょうね。

―その「おぼしめし」に従って、頑張って努力して行くということですね。
今、本は何冊出版されていますか?

◆7冊です。3月末に7冊目が出ました。内容はほめ言葉です。
「ほめことば練習帳」というタイトルで、ほめ言葉をたくさん知っていると、
また、深く知れば知るほど、使ってみたくなるのではないかと思って書きま
した。

―軽い気持ちからメールマガジンを始め、その後、本を出版するまでになり
ましたが、現在は日々どういう思いで言葉をつむぎ出し、お仕事をされてい
らっしゃるのでしょうか?

◆たくさんの人と、自分の好きな言葉を共感・共有したいという気持ちは、
今も変わらないですね。
あと、最初は作詞などをされる方が重宝してくれるのかなとも思っていまし
た。
でも実際メルマガや本を出してみると、感想を寄せてくださる方は作詞とは
関係ない方、普通のOLさんや主婦の方が多いんです。「なんとなく毎日が
潤う」というようなご感想をいただくので、だんだんそういう面でも、お役
にたてればいいなと思っています。

自分にできることは微力かもしれませんが、例えば、今、地球温暖化問題が
あって、なんとかしたい気持ちがあっても、大したことはできない。でも、
日本の昔の四季の良さをみんなに伝えて、わかる人が増えたら、みんなの気
持ちがそういう方向に向けば、ゆるやかにそちらの助けにもなるかなと思っ
ています。

―身近にあるもともとの自然、植物、天気や気候を愛でる、愛しむ心が環境
を少しずつ変えて行けるかもしれないということですね。

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●夢みる夢子さんの生き方
そして夢子さんの「夢」は?
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―『きゃりあ・ぷれす』の読者は多くが女性です。中には、OL時代の山下
さんのように毎日退屈だったり、同じことの繰り返しだったり、または、な
んか夢があったり、本当はこうだったらいいのにと思っても、どうしていい
のかわからなかったり、夢をどう見ていいかわからない人もいると思います。
今までの山下さんの経験から、そういう方へ何かアドバイスをいただけませ
んか?

◆自分のキーワードとしてずっとあるのは「自然体」です。自分の気持ちに
正直に。「つまんない」「これでいいのかな」という気持ちにふたをしない
方がいいですね。自分の気持ちが向く方をもっと真剣に見つめていったらい
いと思います。

―山下さんの夢は作詞作曲家で、今少し方向が違うように思いますが、その
辺はいかがでしょうか?

◆「夢」と「目標」って、混同していましたが、言葉を調べて行くうちに、
自分で分けるようになりました。「夢」というのは、具体的なことではなく、
その中の本質のことであると思うようになりました。具体的な形がひとつの
「目標」であって、その中にある「夢」すなわち本質、心が大事だと思いま
す。

作詞作曲家になりたかったのは、結局、自分の心、夢みる夢子さんの私を表
現して表に出して伝えることがしたかったのではないかと思います。
それが、CDになろうと本になろうと、表現ということは同じなので、全然
違う方向に進んだとは思っていません。夢を叶えたような、夢の続きのよう
な、うまく自分を実現できる方向に進んだと思います。

―それは「おぼしめし」、天命がそうせよという部分もあったと思いますが、
いかがでしょうか?

◆それは「抱負」と思っています。「抱負」は自分がこうしたいということ
を言いますけど、背負っているもの、抱いているものと書きますよね。天命
というものは、自分の環境、まわりの状況が絶対関わってきます。それに逆
らって自分に何の関わりもないことを求めても、うまく行かないと思います。
例えば、家族がいれば、それを含めて、全てを受け止めたところから湧いて
くる目標を見つける。そういう風にしていくといいのではないでしょうか。
中身の心を大事にしていけば、形に囚われなくてもいいと思います。

―それぞれが持っている、いろんな条件、足かせと思うような条件や環境の
中でも、その人にしかできないことがあり、それらを抱えたり、背負ったり
しながらも、そこにこそ自分の個性、自分の道が潜んでいるということです
ね。
何かになりたいとき、自分の個性なり、いろんなことを変えることは難しい、
それで苦労しても思うようになれないことが多いですよね。

◆あの人みたいになりたいと思っても、そうなった時点で、自分が幸せかと
いうと、そうではないですよね。まわりに左右されずに自分が本当にどうし
たいのかわかることが大切だと思います。

―最後に、今は「おぼしめし」に従って進み、ご自身の夢も叶えつつ、途中
でもあり、とても幸せですか?

◆はい。私にとって「夢」はお月さんのようなもので、ゴールではなく、い
つもあるものです。目標は達成するけど、夢は叶っても叶わなくても、いつ
も心にあるものですね。
「夢」をイメージ映像にしてみるならば、何もなくても、心を通わせる信頼
できる人たちと一緒にいて、いつも自分の気持ちを素直に出すニコニコした
私がいて、周りも幸せでいるような感じですね。

―今日は貴重なお時間、本当にありがとうございました。これからも、夢子
さんのすてきな夢の言葉を楽しみにしています。
(以上)