2008.9.10発行 vol.283
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【特集企画】「りーだーず・ぷれす」連載コラム特集!

●「田舎の夏から秋は忙しい?」          みのむし

●「考えよう 私たちの食料の未来」        トナリノ
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        ---連載コラム「りーだーず・ぷれす」---
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 季節はなんとなく移り変わるものだと思っておりましたが、先週末に見事
な切り替えを経験しました。それは、昆虫の鳴き声です。週末には夏が終わ
ってほしくないとばかりに蝉がツクツクホーシ!と鳴いておりましたが、週
が明けたとたんに鈴虫が大演奏会を催し始めました。あんなにたくさんの蝉
が一斉に消えてしまい、影も形もなかった鈴虫が登場したのです。蝉と鈴虫
が重なる期間というのはないのでしょうか?実は、知らないのは自分だけで
毎年繰り返されている光景かもしれないですね。今年、気がついてよかった
のかも・・・。
  今号のりーだーず・ぷれすはみのむしさんとトナリノさんの登場です。み
のむしさんは楽しかった夏の思い出をたっぷりと書いてくださいました。こ
んな夏休みを経験できる子どもたちがまだ日本にいたのですね。なんだかほ
っとしました。トナリノさんからは食の未来についてのメッセージが届きま
した。みのむしさんのように畑を作れると少しは安心ですが、ほとんどの日
本人にとって食料は「買うもの」でしょう。食べ物がなくては生きてはいけ
ません。いつまでもヒトゴトではすまされない重大なテーマだと思います。
2つのコラムをぜひじっくりとお読みください。ご意見、ご感想、それぞれ
の書き手へのメッセージなどお待ちしております。

・「りーだーず・ぷれす」とは? →
http://www.pangea.jp/c-press/readers/about.html
・参加したくなったら… →
http://www.pangea.jp/c-press/readers/sanka.html
・前回の「りーだーず・ぷれす」 →
http://www.pangea.jp/c-press/backnumber/cp-0270.html
・よーちゃんのページ →
http://www.pangea.jp/c-press/readers/yo-chan/
・西田良枝(Emabu)さんのページ →
http://www.pangea.jp/c-press/readers/emabu/
・高畑静江(アクトレス)さんのページ →
http://www.pangea.jp/c-press/readers/actress/
・ハナコさんのページ →
http://www.pangea.jp/c-press/readers/hanako/
・みのむしさんのページ →
http://www.pangea.jp/c-press/readers/minomushi/
・トナリノさんのページ →
http://www.pangea.jp/c-press/readers/tonarino/
・じょいさんのページ →
http://www.pangea.jp/c-press/readers/joy/

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●「これが私の生きる道?〜山里暮らしで見えてきたこと〜」 第3回

    「田舎の夏から秋は忙しい?」          みのむし

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子供達の夏休みもようやく終わり、ほっとしたような、少しさみしいような
気分です。とんぼもたくさん飛び始め、稲穂も黄色くなってきて、秋の訪れ
を感じます。今年の夏も暑かったですが、少し天候が不順だったように思い
ます。こちらはお盆を過ぎた頃から雨が多く、降りだすと「豪雨」で、山崩
れや川の増水が心配になるほどです。おかげで暑さはおさまりましたが、す
っきりしない天気が続いています。皆さんのところではいかがでしょうか。

夏休み中は、毎日と言っていいほど子供と川で遊んでいました。午前中の涼
しい時間は宿題をさせ、お昼を食べて、暑いのが我慢できなくなると川に出
かけます。プールも近くにあるのですが、魚がいたり、日陰のある川のほう
が好きです。水が冷たくて長い間水に入っていられないので、河原で石を積
んだり、石を投げて水切りをしたり、浅いところでおたまじゃくしやメダカ
をつかまえたり・・・最初は日焼けを気にしていましたが、だんだん面倒に
なって、腕が真っ黒に日焼けしてしまいました。

さて、いつもは静かな山里も夏になると少しにぎやかになります。都会に出
ている若い人たちが夏休みやお盆で帰省してきたり、川で泳いだり、バーベ
キューのために遊びに来る人たちが増えるからです。いつもは夫婦だけや一
人暮らしの方も、家族が帰ってきているときはみんなとても嬉しそうです。

にぎやかになる頃から、いろいろと地域の行事が始まります。河原の掃除、
学校の草刈、地域の草刈、そして、一大行事の盆踊り大会。盆踊り大会は前
日から用意するのかと思っていたら、当日の朝からみんなで会場の神社の草
刈と掃除をして、舞台ややぐらの設置、飾りつけをし、祭りのあとはその日
のうちに全部片付けてしまうという強行軍(?)。金魚すくいやバザー、た
こ焼きや焼きそば、当てものなどの夜店と盛りだくさん。盆踊りは事前に練
習がありました。炭坑節や町の踊り、そして伝統的な扇の踊りもあります。
扇の踊りは日本舞踊的な踊りで、がんばって練習しましたがとても難しかっ
たです。去年は引っ越してきたばかりで何も手伝えませんでしたが、今年は
少しお手伝いもできて満足です。草刈では、お年寄りのほうが体力も技術も
断然上なので、お手伝いになったかどうかは不明ですが、参加することに意
義がある、としましょう。

けれど、過疎高齢化がここでも進んできていて、子供の数は減り、お年寄り
が目立ちます。こんな風に盆踊り大会や草刈がいつまでできるんだろう・・
・とふと心配になるときもありますが、まだまだ皆さんお元気なので大丈夫
でしょう。人数が少ない分、みんなが協力するといういい点もあります。

畑の方は、夏野菜をぼちぼち収穫できました。インゲン、きゅうりと茄子は
なかなか順調に収穫でき、食卓を飾ってくれました。とうもろこしは粒が黒
い珍しい種類だったのですが、肥料が足りなかったのか、実入りがよくあり
ませんでした。大葉とシソは勝手に生えてきてどんどん育ち、薬味として大
活躍。トマトは赤くなってくると、なぞの動物に夜の間に食べられてしまい
ほとんど収穫できず。かぼちゃは現在もどんどん成長中で2つ位個収穫でき
そう。とにかく、かぼちゃはどんどんつるを伸ばして成長するので、畑全体
がかぼちゃで覆われてしまっています。大根や白菜などの冬野菜の種をまか
ないといけないのに、どうしようかと思案中です。

秋も、運動会やお月見、秋祭り、文化祭など色々な行事があるので、なかな
か忙しそうです。けれど、まずは畑の整理をしなければなりません。夏野菜
の残骸と雑草で覆われた畑をきれいにして、種をまいたり、苗を植えたりで
きる状態にしなければ・・・大家さんに「草刈りや〜」とまた注意されてし
まいそう。

                       〜次回につづく〜
                       
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●トナリノ通信                     第3回

   「考えよう 私たちの食料の未来」        トナリノ

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 毎日食卓に並ぶ色々な食べ物、飽食社会とも言われる現代の私たちは、食
の豊かさを享受しています。外食や中食、ファーストフードやコンビニ弁当
など、選択が自由にできます。
しかし今日本は、食料の60%を海外からの輸入に頼っています。政府は2
015年までに食料時給率を45%に引き上げることを目標にしていますが
達成は難しい模様です。7月に開催された洞爺湖サミットでも、世界的な食
料問題が議題に浮上しました。今も地球上には、日常の食事にも事欠く人た
ちや餓死していく人々がいるのが現状です。
将来の世界的な人口増加による食物需給の逼迫と、気候変動や原油価格の高
騰、バイオ燃料問題などにより、食料価格の高騰や輸出規制などが問題化し
てきています。その影響を真っ先に受けるのは貧困な弱者たちです。そして
外国へ食料を依存している自給率の低いわが国日本などです。私たちの生活
にそれらが及ぼす影響は、どのようなものがあるのでしょうか。

 まず、私たちが食料の現実を知ることが大切です。食料自給率低下の背景
には、第一に大量の食品を輸入し、大量に廃棄するという日本のフードシス
テム自体の問題があります。
スーパーやコンビニではまだ食べられる食品でも、品質管理のため消費期限
前に棚から撤去され廃棄されています。形の悪いものや色がきれいでないも
のも対象です。外食産業においても毎日大量の食べ残しが廃棄処分されてい
るのが現状です。外国からの輸入に頼っているのですから、これらのフード
システムを抜本的に見直す必要があります。
これらの対策として、あるコンビニでは弁当を店頭調理に切り替えたり、残
さを飼料に加工して家畜に与える企業の出現など、新たな取り組みも行われ
始めています。「もったいない」の精神をもつことが大切です。

 第二に、日本農業の体力低下があります。農業人口は高齢化の傾向を辿り
65歳以上の割合は58%で、専業農家においては70歳以上が半分を占め
るという現状です。また後継者不足も深刻化しています。
若い世代が農業に魅力を感じるような取り組みが必要なのです。誰でも賃貸
で営農できるようにするとか、コメ粉利用のパンの売り出しや、異業種と融
合し加工、直売、観光などを行うなど、農業関連の新たなビジネスの展開に
目を向けるべきです。生産者と消費者の連携が確立されれば、新たな農業の
スタイルに繋がると考えられます。

 第三は、私たちの消費者行動です。買い物をするということは、社会に一
票を投じると同じことなのです。どの企業を応援するか、その企業を通して
社会を応援することなのです。安さや便利さだけの追求でよいのでしょうか。
食品を購入する際には、「フードマイレージ」を考えて見てください。「フ
ードマイレージ」とは、食料が生産地から消費者に届くまでの距離×重量を
さします。つまり、遠くから運ばれてくるものはフードマイレージが増大し
ます。2000年における日本全体のフードマイレージは、約5000億t.
kmで、国民一人あたりにすると約4000t.kmで韓国の約1.2倍、アメリカ
の約3.7倍になります。これは、日本の食料輸入が多いために当然高くなり
生産地と食卓の距離が遠くなるほど輸送時に温暖化ガスがたくさん排出され
環境に悪影響を及ぼします。日本は「フードマイレージ」世界一なのです。
私たちのライフスタイルの変化がもたらした結果です。

 今、私たちはもう一度ライフスタイルを見直し、日常の消費行動を考えて
みるべきです。安全で安心な食生活のために、自分がとる行動に責任を持つ
ことです。
賞味期限を絶対のものと考えず、自分の五感を信じること、食品添加物に過
剰に反応したりせず、化学的知識をもつことも必要です。安さの追求が逆に
消費者の不利益を生む場合もあり、「安いものばかりを求める消費者にも責
任がある」と言った偽装事件で逮捕された社長の言葉は責任転嫁とも思えま
すが、消費者にも考えさせる機会がありました。安心と低コストを同時に求
める姿勢は、今後再考する必要があるのかもしれません。
量、安全性、経済性、環境面など、何に重点をおいて食料を入手するのか、
自分が持つ社会に対する議決権を正しく行使したいものです。また、日本型
食生活の見直しや、食育のあり方など、私たち消費者の行動が食の未来の鍵
を握っているのかも知れません。

                       〜次回につづく〜