2008.11.27発行 vol.287
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【特集企画】「りーだーず・ぷれす」連載コラム特集!

●「これが私の生きる道?〜山里暮らしで見えてきたこと〜」
     「冬間近」                  みのむし
●『トナリノ通信』
    「お金の知識と生きる力を身につけよう」     トナリノ
●「私の履歴書(35歳から)」
     「今日はメンタルのお話」            じょい
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        ---連載コラム「りーだーず・ぷれす」---
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みのむしさん、トナリノさん、じょいさんのコラムも早4回目を迎えました。
みのむしさんからは「里」ならではの行事ややってみなければわからない畑
仕事のこと。トナリノさんは消費者としてお金の知識を身につけることは個
人のみならず、社会全体によい影響を及ぼすこと。じょいさんからは発達障
害を持つ高校生との関わりについて。いずれも書き手が隣に座っているよう
な、読み終わるとあたたかい気持ちになる文章です。
「りーだーず・ぷれす」を楽しみにお読みいただきありがとうございました。
今年は今回で最終です。来年もよろしくお願いいたします。

・「りーだーず・ぷれす」とは? →
http://www.pangea.jp/c-press/readers/about.html
・参加したくなったら… →
http://www.pangea.jp/c-press/readers/sanka.html
・前回の「りーだーず・ぷれす」 →
http://www.pangea.jp/c-press/backnumber/cp-0283.html
http://www.pangea.jp/c-press/backnumber/cp-0284.html
・よーちゃんのページ →
http://www.pangea.jp/c-press/readers/yo-chan/
・西田良枝(Emabu)さんのページ →
http://www.pangea.jp/c-press/readers/emabu/
・高畑静江(アクトレス)さんのページ →
http://www.pangea.jp/c-press/readers/actress/
・ハナコさんのページ →
http://www.pangea.jp/c-press/readers/hanako/
・みのむしさんのページ →
http://www.pangea.jp/c-press/readers/minomushi/
・トナリノさんのページ →
http://www.pangea.jp/c-press/readers/tonarino/
・じょいさんのページ →
http://www.pangea.jp/c-press/readers/joy/
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●   「冬間近」                みのむし

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前回の原稿を書いたときはまだ暑かったのに、今は朝の室内の気温が10度
を下回って秋も終わりという感じです。ここは杉が植林された山が多いので
一面の紅葉とはいきませんが、ところどころ残っている雑木林は少しずつ黄
色や赤に色づいてきています。朝晩は息が白くなる日も多くなってきました。
もうコタツもファンヒーターも石油ストーブも準備万端。

先月、秋祭りがありました。子供の叩く太鼓と笛の音に合わせてだんじりが
練り歩き、神社に戻って餅まきで締めくくられました。だんじり囃子は地元
の人にとっては昔から慣れ親しんだメロディなのでしょう。子供も大人もと
ても自然に横笛を奏でていました。「ふるさと」と呼べる場所をもたない私
にとってはなんだかうらやましく思えます。自分が子供の頃に吹いていた笛
を自分の子供が吹いているのを見たら、きっと感慨深いだろうなあ。ところ
で、こちらに引っ越してきて驚いたのが「餅まき」という行事です。文字通
り、餅やお菓子がまかれて、それを拾うのですが、老若男女入り乱れて激し
い争奪戦が繰り広げられます。我が家の子供は餅が顔面に当たって泣いて帰
ってきたこともありますし、せっかく拾ったお菓子を横にいたおばあちゃん
に取られたと憤慨していたときもありました。とはいえ、年に4回か5回あ
る餅まきは、子供にとってはおやつを、大人にとっては縁起物の餅を手に入
れるチャンスなので楽しみのようです。

今年は大根や白菜の種をまく時期をはずしてしまいました。近所の人たちに
合わせて種をまかなければと思っていたのですが、暑さに負けたり、末っ子
に振り回されてすっかり遅れてしまいました。もう隣の畑では立派な大根や
白菜がなっているのに、家の畑の大根や白菜はまだ芽が出て少し大きくなっ
たぐらい・・・玉ねぎや空豆、えんどうも苗や種を植える時期なのに準備で
きていません。週末は苗や種を買ってきて何とか間に合わせたいものです。
野菜作りには、思った以上に計画と準備が大事なことがわかってきました。
私の場合、行き当たりばったりで種をまく時期に前の作物が整理できていな
くて、まく時期を逃してしまうことが多いので、冬の間に1年間の野菜作り
の計画を立てたいなと思っています。でも、行き当たりばったりでも少しず
つ収穫できたので満足です。改めて、土の力は偉大だなあと思います。最近
収穫できたのは、サツマイモです。これも苗を買う時期を逸して、売れ残っ
た鉢植えの3本の苗を植えてほったらかしにしていたものです。本当は、ツ
ルが伸びてきたらツルを土に埋めるようにしてやると、そこにも芋ができる
のですが、手が回らず・・・だから期待していなかったのですが、掘ってみ
ると大小10個足らずの芋が取れて子供と大喜びしました。

余談ですが、秋祭りのあと、なぜか激しい腰痛に襲われ、子供も風邪を引い
たり、喘息の発作が起きたりで、しばらく実家に帰っていました。健康の大
切さを痛感したのはもちろんですが、こちらに帰ってきたら、会う人みんな
が「腰は大丈夫か?」と聞いてくれるのには、ありがたいやら驚くやら。田
舎のネットワーク(?)のすごさを感じました。

                          〜次回につづく〜

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●    「お金の知識と生きる力を身につけよう」     トナリノ

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 アメリカのサブプライム住宅ローン問題に端を発した世界的な金融危機は、
100年に一度と言われるほど市場の混乱を招いていますが、私たちの生活
にも影響が出始め、日経平均株価は下落が続き、日銀の金利の引き下げ、企
業の倒産件数の増加など、徐々に私たちの身近にせまりつつあります。

 日本では子どものうちからの金銭教育がなされていません。お金を儲ける
ことはいけないこと、子どもの前でお金の話をしてはいけないとか、そうい
った考え方が今でも根強いのではないでしょうか。
自分自身のことを振り返ってみても、子どもの頃、お金のことをきちんと学
んだ記憶はありません。私が子どもだった昭和30年から40年代は(年が
ばれてしまいますが)日本は高度経済成長時代にあり、大量生産、大量消費
という時代でした。
しかし、今の日本はそれでいいはずはありません。株や投資信託ブームです
が、その裏腹に増税、年金不安、年収ダウンなど個人の生活をお金を脅かす
環境はたくさんあります。その防衛手段や金銭感覚は一朝一夕ではなかなか
育ちません。基礎的な金銭教育は社会に出るまでに行われることが必要なの
です。

 現代社会は交通網やインターネットの発達などにより、自宅にいながら買
い物をすることができ、手元にお金がなくてもカードで決済をし品物を手に
することができ、人々は便利さを享受しています。
しかし、その便利さの陰に潜むリスクの存在を忘れてはなりません。
便利になるということは、社会が複雑化することでもあり、私たちはどれく
らいそれらのことを認識できているでしょうか。

 現在、高校生の98%が携帯電話を所持し、所有する年齢も低年齢化しつ
つあり、その契約形態も変化しています。端末料金の高額化に伴い、通話料
金と共に分割払いが増加し、それに伴う中途解約のトラブルも増加していま
す。分割払いが借金契約だということを認識していないことの表れです。
また、近年激増の多重債務問題は、子どもの頃からの金銭教育の欠落が要因
のひとつだと考えられます。各種メディアに載るコマーシャルの影響で利用
に対する抵抗感が減ってしまうことがあるようです。消費者金融の貸し出し
基準がゆるいという問題と、短時間のうちに専用カードが発行され、簡単に
現金を手にできる点に問題があります。支払い形態にリボルビング方式を取
り入れていることも挙げられ、アメリカでは「リボ中毒」なることばもあり、
知らず知らず感覚が麻痺してくるのです。リボ払いは毎月の返済金額が同じ
く、金額も低く設定でき、限度額の範囲なら自由に追加で借りられます。こ
の仕組みが高金利を支払っているという自覚をしにくくしています。
更に、20歳を過ぎれば大学生であっても簡単にクレジットカードが作るこ
とができ、しかもショッピングのみならずキャッシング機能も自動的に付与
される設定です。「学生ローン」なるも存在し、親の資力をバックにした利
益重視のビジネスモデルであると言えます。
しかし、問題は返せるかどうかです。個人の金銭管理をしっかりとできる人
に育てる金銭教育が重要です。お金のために自殺したり、身を滅ぼしたりす
ることがないように、自分自身に力をつけることが大切です。
社会に出てしまった親の世代では、自己責任時代を生きる大人として、最低
限知っておかなければならないのは、マネーの基礎知識や年金制度の基本的
な仕組み、社会保障や税の仕組みなどです。自分自身も含めてですが、給料
から天引きされているこれらについて感心を持たず、きちんと学ぶこともな
く、これまで過ごしてきたことを反省しなければならないと思います。
 
  規制緩和が進み、消費者に自己責任を求める分野が拡大されつつあります。
商品サービスが多様化、複雑化している成熟した現在の日本の消費社会では、
消費者の自己責任が求められるのは当然のことです。
一方で、事業者側の責任も同時に大きくならなければならず、モラルやCS
R(企業の社会的責任)が求められるのも当然のことです。
行政の対策として中立的な立場で、幅広く体系的にお金の知識を学べる機会
を設けること、それらの体制作りが望まれます。
具体的には、NHKでの語学番組などのように、各ライフステージに合わせ
た段階的な金銭教育番組などが挙げられます。学校においては、小学生には
ゲーム感覚でのお店での買い物のやりとりや、中学生の家計のやりくりシュ
ミレーション、高校生による会社経営疑似体験など、無理なく楽しみながら
学べる場を提供することで、金銭感覚を養うことが大切です。

 多くの人が正確な知識を得ることは、自分自身のためだけでなく、社会全
体の意識を高めることに繋がります。自立した考えをする人が増え、親と子
どもと学校と社会とで、消費者力を金融分野にも発揮していきたいものです。
知識と智慧をつけることは「生きる力をつける」ことでもあるのです。

                          〜次回につづく〜
                          
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●    「今日はメンタルのお話」          じょい

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こんにちは、じょい、です。
最近ぐんと冷え込みましたね、私も慌てて冬支度してます。が、もう少し灯
油が下がらない事にはストーブが出せない〜
風邪が先か灯油の値下がりが先か、無意味な戦いをしておりますが皆さん体
は冷やしちゃいけませんヨ!

先にお知らせしておきますね。無事キャリア・コンサルタントの資格試験に
受かりました、やった!!
もう勉強しなくて済むゾ〜(が本音)キャリアの話から始めましたが、今日
はメンタルのお話に少々お付き合い下さい。

以前、今春に産業カウンセラーの資格を取ったお話をしました。
資格取得してすぐに地元で活動しているカウンセリングのNPO法人の会員
になり、カウンセラーデビューはしていませんが、月1回の勉強会は顔を出
すようにしています。
テーマはいろいろで「うつ病」「強迫症」などメンタルのお話や「ワーク・
ライフ・バランス」というキャリア系の話を精神科の医師からうかがったり
と、大変勉強になるものばかり。
それでつい先日のテーマは「発達障害」。
主に教育の場で昨今話題にされていて、私もADHD(注意欠陥多動性障害)
や自閉症は知っていましたが、発達障害とはLD(学習障害)なども含む成
長の過程でみつかる脳の機能的問題と社会的自立に向けての「障害」。この
日、「アスペルガー障害」という言葉を初めて耳にしました。以下は勉強会
での説明です。

発達障害の一つで「言語障害を伴わない自閉症」とも言われる、問題は主に
コミュニケーションの障害。
・人が話す言葉を額面通りに受け取り、何を言わんとしているのか理解が出
来ない。
・他人が微笑む事を見ることが出来ても、それを意味している事がわからな
い=アイコンタクト不可能
・空気や行間を読む、ニュアンスを汲み取る事が出来ない。ゆえに普通に高
校、大学まで卒業するが、社会人となり転職を繰返し挫折する人が多い。
・知的レベルが普通以上にあるので、福祉制度・公的な助成が得られない

ここまできた時に私の頭の中にある男子高校生の姿がくっきりと浮かび、ま
た彼が浮かんで来た事に私自身衝撃を受けたのでした。彼は、教師をしてい
る友人の部活動の生徒で普通高校の2年生。時々部活の生徒と混じり私も練
習に参加していたので、1年の時から顔なじみ。一生懸命頑張ってるひたむ
きな姿と上手く出来ない不器用さがある意味微笑ましかった。
未経験者の1年生だったから、毎日練習すれば彼も見違えるほどの選手にな
るだろうと。10月の週末、久しぶりに顔を出すと相変わらず彼は顧問であ
る友人に怒鳴られていました。一つ指示したら次に何がくるのか、2年生な
ら言われなくても分かれ、と言うような事。
部活の後半に私と友人で少し真剣な話をしているにも関わらず、2度3度と
次の指示を仰ぎに話を割って入るのも彼でした。

私も友人も彼をただの空気の読めない(KYな)健常者だと思っているから、
励ましたり怒ったり、時に笑いのネタ提供者位にしか思っていなかった。
知らないって怖い。
励ましたり怒るのは、何回か目には出来ると思っているからだ。でも彼がい
くら頑張っても出来ない事だと理解していれば、別のやり方を探す。私は知
らない間に、彼を傷つけたかも知れない。

そう、これだ。
私がこの障害を知ってからずっともやもやとした重い気持ちを抱えていたの
は。励ましながらも何度言っても出来ない彼に私は最後にはき捨てるように
怒鳴ってしまったのだ。

勉強会を終えた時、「一体こんな重い問題を私ごときがどうしろっていうの
サ」と漠然とした暗くて重いお土産を持たされたような気持ち、それが何日
経っても私の心の中に消えることなく居座っている。やっと分かった。
社会的弱者を救わねばならん!と声高に叫ぶ為でなく、私の知ってる高校生
のあの彼を理解しろと誰かが私にも出来る宿題をくれたんだ。次の休みには
必ず彼に会いに行こう。そして何が私に出来るのか探そう。

この話の続きはまたいずれ、報告させて頂きますね。どうまとまるのか、自
分でも分からず書き始めましたが一緒にお付き合い頂きありがとうございま
した。

                        〜そしてまた次回!〜