2008.12.25発行 vol.289
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【ご挨拶】 発行人より「今年もありがとうございました」

【特集企画】    ヘロリ・ペロリ日記 その30
           今年もお世話になりました!
      〜 身体と心の“大掃除”はもうお済みですか? 〜
     
【連載企画】    エディターズ・アイ Vol.1
      〜 博物館・美術館めぐり 森アーツセンターギャラリー 〜

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   【ご挨拶】 発行人より「今年もありがとうございました」  

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今年4月、創刊10周年を迎えた『きゃりあ・ぷれす』。これもひとえに読者
のみな様のご支援のたまものと心より感謝申し上げます。『きゃりあ・ぷれ
す』から生まれた「旧暦美人ダイアリー」も、去年にも増して今年ご好評を
いただき、編集部一同、大いに盛り上がっています。

とはいえ、日々報道される派遣切りのニュースは、ほとんど災害の様相を呈
しています。これはまさしく人災です。思えば本誌が創刊してからの10年は、
さまざまなことが激変し、「改革」という名の改悪が横行した時期でもあり
ました。専門業種に限られていた「派遣」という形が大幅に拡大され、工場
労働者などを含むものになったのが2004年、まさに小泉政権絶頂の頃でした。
市場至上主義、金融の自由化なども同時に「改革」の名のもと推進されまし
た。それら小泉政権が掲げた「改革」とは、グローバルスタンダード、言い
方を変えればアメリカナイズを目指すものでしかなかったのです。今や破た
んしたそれらを目指すことが「改革」などではないことがあまりにも明白に
なったこの暮れの状況といわざるをえません。
今私たちの社会は、にせものの「改革」ではなく、本当の「変革」を迫られ
ています。

ご多分にもれず、編集部のあるパンゲアも、この大災害はもちろん人ごと
ではなく、来年は大変革の正念場と認識しています。しかし、新しい時代の
胎動、心音は確かに聞こえてくるのも事実。来年は少しでもそうした息吹き
をお伝えしていければと考えています。
2009年も『きゃりあ・ぷれす』をよろしくお願い致します。みな様にとりま
して、来るべき年が、実り多いものでありますように。ご一緒に、この難局
を越えて、「希望」ある社会をめざしていきたいと思います。

                           (宮崎郁子)

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          ヘロリ・ペロリ日記 その30
           今年もお世話になりました!
     〜 身体と心の“大掃除”はもうお済みですか? 〜
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【ヘロリ山崎より】

こんにちは! もうそろそろ紅葉だなあ、と楽しみにしていたんです。テレ
ビCMで京都とか奈良だとかの紅葉のシーンを観ると、もうどうしようもな
く心が揺さぶられちゃうじゃないですか。故郷でもなく、学生時代にちょこ
っと関西にいただけで、これといって縁の深い場所というわけではないので
すが、京都や奈良が色鮮やかに色づくと、なぜか心揺さぶられる、ノスタル
ジーを掻き立てられるような気分になってしまいます。そういう場所ってな
いですか?

と、何が言いたいのか、わき道に逸れつつあるわけですが、そう、最近なん
だか忙しくしていて、今回の「ヘロ・ペロ」もなんだかその、忙しい合間に
書いていたりします。「忙しい合間に書く」などと、そんなエラそうなこと
がよく言えたものだと自分でも思いますが、そうですね、忙しいからといっ
て大事なことを疎かにしないよう、初心を忘れずに、これからも着実に、頑
張っていきたいと思います。

とそのように、このように、慌しく過ごしていたら、ふっと我に返ったら、
うちの近所の並木道さえ、すでに色づいているではありませんか! トラッ
クが昼夜を問わず走りまくる色気もへったくれもない環七です。夕暮れ時に、
電気・ガス・電話料金の支払いをせんと、コンビニに向かうときに不意に空
を見上げたときに「ああ」とそろそろ秋の気配が薄れ行き、冬の足音なんて
ものがそろそろと聞こえてきそうじゃないかと思ったわけです。

秋から冬への切り替わりって、なんだか静かな気配で、ウカウカしていたら
置いていかれるなあと、気づかないうちに過ぎ去るなあと、そのとき思った
んですが、切り替えの鮮やかな季節と穏やかな季節ってあるんでしょうか?

とまあ、「おかしいな」とお思いの方、正解です。送りそびれた原稿を、と
ころどころ書き直しながら流用しているわけですが(笑) いまや季節はもう
冬、というか、世間的にいう“師走”ですね。

「流れをつかんで乗っかりなさい」と、前回の講座のときに、松田さんに叱
咤激励されたと思うのですが、おかげさまで頑張れているのだと思います。
そういえば最近、夏の間、頑張って書いた原稿が出版されました。

服部幸應の食育の本 vol.3「食料自給率をアップさせる食育2.0はじめます。」
http://www.hattori.ac.jp/news/2008/10/-vol320.html

自分自身の興味のある分野の仕事が最近は結構増えてきていて、そういった
変化も自分の中ではとてもありがたく、そういうときに、これまでの自分自
身の歩みを振り返って、あながち間違えてなかったのかもしれないな〜と思
ったりします。

で、この原稿料が入ってきたんですが、ちょうどタイミングを合わせるよう
にして、我が家のFAX、パソコンが同時に壊れちゃいました。両方とも修
理どころではなく、交換とか買い替えです。忙しいとき、お金のないときに
は彼らは文句の一言も言わず、激務をこなしてくれたのですが、ひと段落し、
いくばくかの収入が入るや否や、はらはらと落ち葉が落ちるように、僕の元
を離れていきました。これはまるで「新陳代謝」のようだと思わずにはいら
れませんでした。そう思わないとやっていられないという気持ちが半分です
が(笑)

とまあ、仕事的には順調かなあ、と思って安心していたら、ご存知のように
この間に恐ろしいまでの不景気になり、零細フリーランサーには、ぱたっと
仕事が途切れていました。無事に年を越せるのかと不安でしたが、来年の春
先に1冊本を出す仕事をいただき、ひと安心しています。

全てがこんな感じです。というのは、仕事も体調も、人間関係も、このよう
に、一安心しそうになると途端にバランスを崩し、ちょっと持ち直すとまた
グラグラっとしながら、なんとか持ちこたえているうちにいつの間にか調和
したバランスになっている、という印象です。

常に流れてのたりのたりと揺らめきながら、心・体・人は全て不思議な共鳴
を見せながら、どこかに向かって行くのでしょうか。

「旧暦美人」で旧暦を知ってから、かたくなに旧暦の流れで生活をする時期
がありました。「新暦なんて」という意識もありました。それは西洋医学を
否定して、風邪を引いても薬も飲まない、病院にも行かないという、極端な
考え方でした。

極端はだめですね。“ヘロリ山崎”と名乗っていながら、全然ヘロヘロして
いないんじゃあ、名前負けというものです(笑)
イロイロと曖昧に、行きつ戻りつしながら、来年はヘロリとした部分をもっ
とたくさんお見せできるようにというのが目標です。

本日はクリスマスイヴです。いつも「身体」や「旧暦」の話ばかりですが、
クリスマスを祝う、楽しく過ごす、そのことで恋人や家族、親しい友人たち
と楽しい時間を持てるのなら、素敵なことですよね。

Merry Christmas! 本年もありがとうございました。来年も宜しくお願いし
ます。

さて、次回の講座は年明け1月18日(日)です。“大寒”間近の一年で最も
寒い時期となります。「最も寒い」ということは、そこを境にいよいよ“春”
に近づいていくということでもあります。そうです。お正月を“新春”と呼
びますが、旧暦のお正月は下で松田さんも仰っているように、1月26日で
す。
いかにも「新しい春」というタイミングだとは思いませんか? 新しい春を
迎えるまでに一年を振り返り、心と身体を新年に向けて整えていく“大掃除”
をしようと思います。リアルな大掃除もきちんとやりますとも!(笑)

 

【ペロリ松田より】

ヘロリ山崎こと、山ちゃんからのお便りで時折、ドキッとさせられることが
あります。今回もそうでした。

「忙しいからといって大事なことを疎かにしないよう、初心を忘れずに、こ
れからも着実に頑張っていきたいと思います」

原稿をいつも引きずっているような我が身にとっては、ああ耳が痛い言葉。
目の前のことにいつも追われ、すっかり忘れていることばかりでした。まさ
しく連続パンチ攻撃です。

「忙しい」という字は“心をなくす”という意味なのよね・・・と聞いた話
をまず思い出し・・・パンチひとつボカン!

パンチふたつ目。
「初心を忘れず」・・・物事を始めようとしたその時には、熱い想い、覚悟
があったはず。時間が経つにつれ、その気持ちは少しずつ薄らぎ忘れ去られ
・・・そうだ“志”だってあったじゃないか!ボカン!

そして3つめ。「これからも着実に……」とは、あきらめず、ひるまず、一
歩一歩進み続けてゆくしかないという不屈の意思の現われ。忘れていません
でしたか?と自分に問うて、ボカンボカン、ボカン!

ヘロリ・ペロリなんて言いながら、結構、根は大真面目な相棒であり、こう
いう喝の入れられ方も良いものでした。

年齢を重ねてくると、“今年一年、どんな年だった?”と振り返る機会すら
減ってゆくようで、何しろ記憶が定かでないことが増えてきます。とはいえ、
確実に積み重ねているのは“体験”です。

その“体験”を一回、頭の中で整理して、糧にしてゆく。
そんな作業が年末のこの時期には、おすすめです。

それを新暦でやるか、旧暦でやるか・・・あるいは何となく新から旧への移
り変わりの期間の中で一ヶ月少しの時間をかけて行ってみるか・・・。それ
は、その人の今の状況、今後の展開、予兆など、自分で見渡していると、お
のずとふさわしい“その時”が訪れるのでしょう。ちなみに、旧暦での1月
1日、2009年は1月26日(月)になります。

季節の移り変わり同様、こういうものは、ある日突然、パカッと裏から表に
なるようなものではなく、徐々に行きつ戻りつ、或いは少しずつ、デクレッ
シェンドとクレッシェンドが重なり合うように、準備をしながら次の期は訪
れてきます。自然の流れには、そういう傾向があります。

そこを自分の意志の力で、或いはあらかじめ皆の共通事項としての暦の力を
借りて、区切りをつけてゆく。

河のように流れてゆく自分の人生の時間にメリハリをつけてゆく。区切って
分かりやすくして、活力を生んでゆく。暦と共に生きるということは、そん
な知恵も授けてくれます。

2009年、旧暦ダイアリー、おかげさまで人気上昇中のようです。来年の
身体感覚講座の方も、季節ごとの行事の楽しさを混ぜつつ、自然界の移り変
わりに添って、変化してゆく身体の調整、メンテナンス、更に呼吸法、瞑想
法などを取り入れて、自分の内側を見守る心の眼を丁寧に育ててゆきたいと
思っています。

2008年、お付き合いいただきまして、本当にどうもありがとうございま
した。2009年も、冒頭の“ヘロペロ決意”にあるように一歩一歩“大き
くて高い志”を忘れずに、進んでいきたいと思ってます。

どうぞ、宜しくおねがいいたします。

Merry X’mas! そして素敵な年の始まりを。

【ペロリ松田プロフィール】
■松田恵美子(まつだえみこ)
身体感覚教育研究者。現代人における生命力の発露を探究。日々の動作や日
本文化における型などを感覚からひもとき、日常生活に活かせる知恵や技と
して活用することで、自分のからだを自分で育む姿勢を伝えている。学校教
育における教材化の研究協力にも携わる。
Be-nature school講師。
共著に『自分という自然に出会う)』(講談社/刊)『おとなの自然塾)』
(岩波アクティブ新書)。
監修『旧暦美人のすすめ』(東洋経済新報社) 2007年3月発売。

【ヘロリ山崎プロフィール】
■山崎義高(やまさきよしたか)
「きゃりあ・ぷれす」編集部を経て、現在はフリーのライター。
『旧暦美人のすすめ(東洋経済新報社)』
『服部幸應の食育の本 vol.3(グリーンハンド)』
『コクヨ環境未来(コラム、環境クイズ)』『NHKステラ北京五輪増刊号』
『NHKステラ、ラジオ深夜便(広告)』『B.O.S.S.(キヤノン取引先サイト)』
『はつらつ元気(芸文社)』『コブスオンライン(コラム担当)』『スポーツ
キッズ(ベースボールマガジン社)』など。
お仕事のご依頼はコチラ →< yoshitak@kingyobanchi.dialog.jp >

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   【連載企画】  エディターズ・アイ Vol.1  
       「博物館・美術館めぐり〜森アーツセンターギャラリー〜」
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「ピンチはチャンス!」ここのところの編集部では何かと言えばこの言葉が
繰り返し飛び交っています。編集部のみならず日本中、いえ世界中でたくさ
んの人達が「ピンチ」を迎えている気配ですが、みんなが「ピンチはチャン
ス!」と前向きな思考になれれば、少しずつでも機運を高めていくことがで
きるのではないでしょうか。『きゃりあ・ぷれす』編集部には新メンバーが
加わり、さらに新たなコンテンツをお届することになりました。題して「エ
ディターズ・アイ」。編集部員のアンテナが受信した新鮮な情報をお届し、
読者のみなさんに元気の輪を広げていきます。ご期待ください。

「エディターズ・アイ」トップバッターを務めさせていただきますグラフィ
ックデザイナー郷千絵美です。『きゃりあ・ぷれす』の編集に新たに参加す
ることになりました。私の回では「博物館・美術館めぐり」をテーマにお送
りしたいと思います。「博物館・美術館めぐり」とは、都内、その近郊に存
在する博物館・美術館へ出かけ、その特徴、開催されている企画展、常設展
などの内容、その周辺のお散歩スポットなどをグラフィックデザイナーの視
点でご紹介していく企画です。きゃりあ・ぷれすをご覧の皆様はさまざまな
職種の方がいらっしゃいます。普段仕事をする中で全くグラフィックデザイ
ナーと接点のない方、または、この職種に少し興味があるという方も、この

メールマガジンを通して、グラフィックデザイナーってこんなことを考えて
いるのだと少しでも何かしらお伝えできればうれしく思います。
どうぞ、よろしくお願いいたします。

今回お邪魔したのは、森アーツセンターギャラリーです。世界の流行の発信
地、六本木にある六本木ヒルズ森タワーの52階に立地し、ファッション
やシネマなど身近なテーマから歴史的な名画まで、幅広いジャンルの展覧会
を開催するアートギャラリーです。過去の展覧会では化粧品メーカーで有名
な「シュウ ウエムラ」を特集した「シュウ ウエムラ展〜25年目の解放〜」
などを企画、他に比類ないギャラリーとして常に注目をされています。

さて、現在開催中の企画展は「ゴールド展ーその輝きのすべてー」です。
「金」に関するものの総出展数約300点、総重量1トン!「金」のもつ自
然な美しさ、科学的価値、歴史を左右するパワーを紐解きながら、鉱物歴史、
宝飾、経済など様々な観点からゴールドに輝く魅惑の世界へと導いてくれる
展覧会です。その展示物の中で、私が最も注目していたのは30Kgもある
「金の延べ棒」です。その大きさ、いったいどれくらいだと思いますか?
なんとティッシュ箱2つ分くらいもあります。さらにはその価値、日本円に
して約七千五百万円!ルパン3世などのアニメの世界、はたまた舞浜にある
某有名ランドにある海賊アトラクションでしか存在しないものかと勝手に思
い込んでいましたが、実際にあるんです。もし展示してあるどれか一つを、
1個プレゼントしてくれるというなら迷わずこれを選ぶでしょう。いや、も
うひとつ、著名な画家であるパブロ・ピカソがデザインした「gold」の文字
を型どった金のブローチ(かわいい!)も捨てがたいです・・・。「金」の
展覧会なので、もちろん「ゴールド」に関するものばかり展示されているの
ですが、森アーツセンターギャラリーのキュレーターがプランした個性的で
おしゃれな展示で、最後まで興味深く楽しく見ることができます。また、
ギャラリーの出口付近からは、六本木ヒルズ森タワー52階からの大変美し
い東京タワーを眺望できます。夜景がまるで「ゴールド」をちりばめたよう
で、とてもロマンチックでした。ご興味のあるかたはお正月休み中に足を運
んでみては?森アーツセンターギャラリーはお正月も年中無休です。

森アーツセンターギャラリー「ゴールド展ーその輝きのすべてー」
  開催期間/開催中〜1月25日(日)
  時間/10:00〜20:00
     ※金・土・休前日は21:00まで ※12/21〜1/4は21:00まで 
     ※入館はいずれも閉館の30分前まで
  会場/森アーツセンターギャラリー(六本木ヒルズタワー52階)
  料金:一般1,500円、高・大生1,000円、4歳〜中学生500円

                           (郷千絵美)