2015.12.03発行 vol.387
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発行人の気まぐれコラム 4

◇ next・近代。脱・明治

その14 都市では、そこで生まれた者や変わり者が、少し風変わりで粋なモノ・コトをつくり出す。

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都市は、全国各地からの道の交点です。そこには、もともと存在したものに加え、広域からのヒト・モノ・コトや情報が自然に集まってきます。
そして「みやこ」は、その都市の中でも特に多様なモノゴトが行き交い、集まります。そこには自然に多様なもののミックスによる化学反応がおこり、風変わりなもの、面白いものが生まれます。
また、多様なものの取捨選択がおこり、「別品」なものをチョイスする選択眼が研ぎすまされ、粋なものも生まれます。

それらは、都市環境と治安さえまともなら、そして変な統制さえなされなければ、勝手に進んでいくことだと思います。

広域各地の活性化が進めば進む程、さらに、都市の文化的充実度は高まっていくでしょう。
ムリヤリな盛り上げは一切不要だと思います。

■ 多様な人々が集まる都市には治安や安心の面で、もっとオープンで助け合える住居形態が必要。

ただ、プライバシーを価値とする特にアパートは、治安や安心という意味でちょっと問題だと思います。

江戸時代なら長屋なのですが、ここはオープンで井戸端とかがあって、大家さんか差配人、さらに世話焼きばあさんとかがいて、個々の家の様々な問題や悩みを共有し、世話をやいたりしていました。子供たちも老人も、家族だけでケアするのでなく、長屋のみんなでなんとなくケアするようになっていたと思います。

これはアパートに限ったことではありませんが、今では、家族だけで問題を抱え込んだり、何でも役所や警察、保育所などの機関が必要になったりします。それでも日々家族だけで問題を抱え込んだことによる事件が、どんどんおこっています。
役所だって警察だって保育所だって、細々したことにいちいち関わってはいられないでしょう。

よく「問題を地域で共有し、家族に寄り添う」とかいいますが、地域というとどうも行政くさい感じがしますし、「寄り添う」という言葉にもはっきりしないニュアンスが感じられて、私は好きではありません。「隣近所みんなでなんとなくみんなの世話をやく、でも知恵者や世話焼きの人の仕切りもある」みたいな長屋のような形態も必要なのではないでしょうか。

アパートというのは、イギリスなどである場所に工場労働者を集中させて、働かせるために考案されたプライバシー重視の住居形態です。明治以降いかにも先進的なもののように日本に導入されました。今、シェアハウスとかが人気なのも、長屋的なものを求める傾向の表れにような気がしますが、どう思われますか?

さて次回は、いよいよ?「GDP、経済成長神話からの脱却」がテーマです。お楽しみに!?

 

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2015年12月03日 『きゃりあ・ぷれす』発行人 宮崎郁子

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