2016.2.17発行 vol.392
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発行人の気まぐれコラム 5

◇ next・近代。脱・明治。その後 1

近代の限界は、ヨーロッパでも常識になりつつある?

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今夜の月は、「とおかんやの月」。 旧暦の毎月10日の月です。 十五夜、十三夜とともに美しいとされ、月見の習慣があったといわれています。天気がよければ夜中の12時から2時くらいまで上空で見られるでしょう。

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さて、本題。

 

[最近観た映画で驚いたこと]

先日、ネイチャードキュメンタリー映画「SEASONS〜2万年の地球紀行〜」を観ました。実は友人に誘われてのことで、友人も、もちろん私もこの映画の本当のテーマを知らずに観たのです。

映画館での予告編でも、その他の映画案内などでも、本当のテーマは、おそらくPR戦略として意図的にアピールされなかったように思います。
「野生動物の2万年の営みのリアルな姿を伝える素晴らしい映像表現」というのがPRポイントだったと思われます。友人も私も、素晴らしい映像のネイチャードキュメンタリーを観ようとシネマコンプレックスに行きました。

本当にリアルで迫力満点の映像美に圧倒されながら、私は半分くらい観たところで、「このドキュメンタリーはどうやって終わるんだろう? どこまで行くのだろう?」という疑問がどんどん大きくなって行きました。
そして人間と自然との関係が近代に入ったところで「おお!! これは行くところまで行くんだな。」と確信しました。そのあたりから、なぜか涙があふれてしまいました。なぜなのかは自分でも全く不明です。そしてドキュメンタリーは、人間の営み、特に「近代」というものの犯罪性をはっきり語って終わりました。

おそらくほとんどの観客にとって予想もしない結末だったのではないでしょうか。
PR戦略上、そのことを一切アピールしないということの狙いは、「何の予備知識や既成概念もなく、一般の観客、特に子供たちに観てもらいたい。」というものがあったのかもしれません。あるいは、そうしないと観てくれる人がいなくなるという危機感があったのかもしれません。いずれにせよ、私と友人にとっては結果オーライ。特に私にとってはとりわけ感動的な驚きでした。

映像が終わってから、テロップをずっと見ていました。今回は、映像に集中するためにはその方がいいだろうということで、ナレーションは吹き替え版だったので、本当のナレーションが何語だったのかわからないのですが、そのテロップはフランス語で表記されていました。そのことにも私は大変驚きました。
「近代」の本家本元とも言えるフランスを中心とした製作陣で、この明らかに「近代」の限界、さらには犯罪性を描くドキュメンタリーが作られるとは!!! 「next 近代」の流れはヨーロッパでも自明の理のようになっているんだ! 映像の迫力はもちろんですが、私にとってはそのことが驚きであり、感動でした。これからの社会、少しは希望がもてるかも・・・。と思えたのでした。

私たちが観たのは、シネコンの小さめのブースでしたが、子供たちが沢山来ていました。
「どうだった?」「どう思った?」と聞いてみればよかったな〜と、後で思ったのですが、その時はあまりに感慨が大きくて、そこまでは気がまわりませんでした。

やはり「next近代」は、近代が行くところまで行った文化圏では、強く希求されているのだろうという確信を得ることができた一日でした。

 

ご意見・ご感想を心よりお待ちしております。
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2016年2月17日 『きゃりあ・ぷれす』発行人 宮崎郁子

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