2016.4.4発行 vol.395
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発行人の気まぐれコラム 7

◇ イスラム教は何をしてる。

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世界でキリスト教についで信者数が多いと言われるイスラム教。15~16億人と言われています。ただ、一口でイスラム教と言っても様々な宗派があり、それぞれが対立しあっているようです。そうだとしても、「イスラム国」というものは発生していて、一体として組織化されたり、地域が決まっている訳ではないにしろ、「イスラム国」の旗をかざして多くの若者が世界各地で様々な暴挙を行なっています。そして多くのイスラム教徒が難民としてヨーロッパなどに押し寄せ、暴言トランプに「壁をつくる」だの「水ぜめにする」などと言わせています。

もちろん、問題をおこしたり戦いをしているイスラム教徒はごく一部の少数で、多くのイスラム教徒は平和的なのだということは、確かにその通りでしょう。
けれども「イスラム教」を旗頭にして少数は暴力をふるい、多数はそのとばっちりで難民になり苦しみを受けているのなら、欧米キリスト教のせいだと言ったところで解決しません。
当の「イスラム教」は何をしているんでしょう。そのことはずっと前から不思議でなりませんでした。
人々を幸せにするのが、宗教の存在意義ではないのですか? それを信じている人が幸せにならないのでは、宗教の価値は全くないのではないですか?

自分たちの存在意義と発言権や自治を勝ち取りたいとするならば、「イスラム教」の有力な指導者自身が、問題解決に最大の力を発揮すべきではないでしょうか。まずは各宗派の指導者たちが本当の賢人になって、建設的な話し合いを行なうべきでしょう。残念ながら、そうした大きな動きはまだ見えません。もちろん小規模な動きはあるようですが、残念ながら影響力を発揮するところにはほど遠いと言わざるをえません。

私たち一神教信者でない者にとっては、そんなに多くの信者を不幸にする宗教をなぜ信じなければならないのかも全くわかりません。イスラム教を信じて幸福になっているは、多数の信者の中で何%ぐらいいるのでしょう。

おそらく、石油、天然ガスなどで大もうけした中東の富豪たちはそうでしょうが、それはイスラム教によって幸福になっているのではなく、むしろキリスト教起源の「近代化」に伴って発生した石油など資源への強烈なニーズによるものでしかないではないですか。全く皮肉としか言いようがありません。それもシェールガス革命によってあやしくなっていますが。

イスラム教はいったい何をしてる!

今こそくだらない宗派対立を越えて、イスラム教指導者と信者は、自分の頭で自分たちが本当に幸せを感じられる社会がどのようなもので、その実現に向かうにはどうしたらいいかを考えるべきです。それは絶対非イスラム教徒と戦って勝つことではありません!
それでは絶対幸せになることはできません!

とはいえ、イスラム教徒にとって何が幸せなのかは、私などにわかるはずもないのですが・・・。
幸せの形が違うなら、それはそれでいいでしょう。でも他の幸せの形をもつ人々に迷惑をかけないでほしいと思います。それはキリスト教にも言えることですが。

 

・・・と、ここまで書いて、ふと頭をよぎったことがあります。

このコラムシリーズ「next・近代。脱・明治。」の始めの方で書いた「グロテスクな未来」の問題意識。

「役立たずの他の人間がいて、モンクを言ったり悪さをしたりする、そんな効率の悪いことは、ビジネス発想の上では当然排除されます。まあ人権とかいうものが邪魔するでしょうから、役立たずだからといって、すぐ抹殺する訳にはいかないでしょうが。きっとよくできたバーチャルゲームを与えられて、ただその中で時間をつぶさせるとかでしょう。」という想定の中にイスラム教徒は入らないのではないか。
逆説的に「グロテスクな未来」を阻止する存在たりうるのではないか、という思いです。

だから「イスラム国」が素晴らしいとは思いません。「グロテスクな未来」も「イスラム国」もどっちもやめてくれ! という思いがあるだけです。

私たちは、一神教社会や超大国とは「昼あんどん」を決め込みたいものです。

どう思われますか? ご意見・ご感想をお待ちしております。


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2016年4月4日 『きゃりあ・ぷれす』発行人 宮崎郁子

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