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Who's who?
木村麻紀からのメッセージ

 

私がここに至るまでの道のりの始まりは、1996年の春でした。

通信社の記者になって2年目、私は同じ部署の先輩だった男性記者を過労死で亡くしました。身近な人を亡くした経験がなかったため、初めて死んだ人の顔に接したこともショッキングでしたが、これから自分が生きようとしている仕事はかくも過酷なものなのかと愕然としたのを今でも覚えています。

亡くなった先輩は人一倍熱心かつ優秀な記者で、取材先からの信望も厚かったようです。そのせいか、参列した葬儀の席上で彼の仕事ぶりをたたえる数々の弔辞を聞きながら、ふと「彼はもっと仕事がしたかったかもしれないけど、これまでやってきた仕事に悔いを残さずに死んでいったんじゃないかな」とも思いました。

でもその直後、当時1歳になったばかりの息子さんを抱きかかながら先輩の遺影を呆然と見つめる奥様の姿を目にした時、「やっぱり彼は死んじゃいけなかったんだ」という気持ちが徐々に、そして確実に強くなるのを感じたものでした。働くことと生きることの結び目を意識した最初の出来事でした。

その後、私は長野県に移って3年間の記者生活を送りました。日本選手の活躍に沸いた長野オリンピックや国内初の脳死臓器移植−。貴重なビッグニュースの取材機会に恵まれた一方で、自分の力を信じて精力的に仕事に取り組む多くの素敵な人たちの取材を通じて、私の心は大きく揺さぶられました。

より人に温かい介護のあり方を探る情報誌を発行する会社を始めた女性コンビ、子供のための体験農場作りを目指して農業を始めた男性etc……。その仕事はどれも決して楽ではないはず。それでも彼らが生き生きとして見えたのは、様々な分野で当たり前と考えられていることにとらわれず、自分にしかできない仕事で今の世の中をもっと生きやすくしたいという共通の思いに支えられていたからでしょう。別の言い方をすれば、仕事の幸せと人生の幸せを重ね合わそうとチャレンジする中から、今の世の中とは異なる秩序と価値観を持つ世界=オルタナティブワールドを創り出したいと願っているからかもしれません。私は、21世紀のワーク&ライフはこれだ!と確信しました。

実は、海の向こうでもオルタナティブワールドを創り出そうとする動きがあります。
欧米では、地球環境と人間の健康を最優先した持続可能な生活のあり方(Lifestyle Of Health And Sustainability, LOHAS=ローハス)を志向するCultural Creatives(生活創造者)と呼ばれる人々が増えているとされています。世界中の生活創造者たちがビジネスや生活の場でLOHASを実践すれば、世界が相当変わるのではないか−。そう考えた私は、オーガニックやクリーンビルディングから、自然エネルギーやホメオパシーに至るまで、地球環境の持続可能性を重視したビジネスやライフスタイルについて、分野にとらわれず横断的に取材することを目指して独立し、現在に至っています。

私は、LOHASが単なる環境ビジネスやエコロジーの世界にとどまるものではないと思っています。LOHASとは、自分とその周辺の快楽と生き残りだけを考える大量生産・大量消費型社会から、持続可能な地球環境の下で自然と人間、人間同士が共存共栄できる社会へと私たちを導く静かな価値観革命ではないかと思うのです。

サイト名にある「Poco a Poco」とは、「少しずつ」とか「ゆっくりと」という意味のスペイン語。オルタナティブワールドを創り上げようとする動きは、「少しずつ」ではあるけれども「ゆっくり」と、そして確実に広がっています。大切なのは、オルタナティブを示すこと−。私の仕事が、持続可能な地球環境と暮らしを望むすべての人々が集うLOHASコミュニティーをつなぐ触媒になることを願っています。

 

ご質問やコメント、お待ちしております。

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