きゃりあ・ぷれす

りーだーず・ぷれす
「自分で何かをやりたい」「発信したい」と考える
『きゃりあ・ぷれす』読者による連載コラムです。
各担当者がそれぞれのテーマをに沿って、
思いを綴りながら、自らを成長させていく過程は、
共通の悩み・興味を持つ読者の皆さんにとっても、
共感を持ってお読みいただけると思います。
ご意見やご感想、質問などもお待ちしています。
ハナコさん
「三度目の人生設計」〜田舎で働く!土と暮らす!〜
第4回
兼業主婦という職種
結婚してしばらくするとサラリーマンに決別し、「独立する」ことになり、子どもが生まれるたびに家庭環境が変化ていった。「ハナコさんはよくOKを出したね〜。私だったら絶対反対するけど」と独立するという話を聞いた友人は言った。子どもがいるし、生活の安定は保証されないのだから「ごもっとも」な話。
こんな片田舎では滅多に経験できないなぁ〜と感じつつ、「お互い悔いのないように生きたい」とその都度、前向きに生きてきた。四季の変化とともに繰り返される平凡な日々。決まって季節が巡ると芽をだす「ふきのとう」。やがて他所にも花がさき桜舞い、暖かい日差しや爽やかな風がこころと身体を育ててくれた。暑い夏、秋の実り、冬の温もり…濃い季節の中で育まれる「生命」に励まされてきた気がする。決して経済的な余裕などないのだけれど、すこしずつ日々はゆったりと感じられてきたのです。
写真1
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『夫は自営業で、日本で一番田舎度の高い鳥取県でデザイン事務所を構えている。起業してもうすぐ20年になるけれど、「田舎でデザインを生業にする」ということは、ある意味で日々が戦いであったといってもいいかもしれない。』とお話したが、「どういうこと?」とお思いでしょうね。田舎では「デザイン」といえば印刷会社のサービスでしかなかったのです。地方でもやっと「デザイン」がもつ「力(付加価値)」に気がついてきた。公共でさえ、近年になってやっと「デザイン」と「印刷」の分離発注を考え出したという現状。田舎で「デザイン料」を頂くことの大変さ。「デザイン」という仕事を認知していただけないことの悔しさを味わう日々でありました。今だってある程度改善されたという気はするけど、今日だって「イヤになっちゃいますね〜あったまくるなぁ!」と認識の違いに仰天していたのです。デザインの「付加価値」をよく口にするけれど、「負荷価値」という圧をかけてくる人種がいるらしい、と嘆いていました(笑)。
このような環境の中で私は「兼業主婦」という仕事をすることになったのです。それって職業なの?っていわれるけど、私は職業欄には「兼業主婦」と書いています。主婦(と子育て)と仕事の3つを兼業ということになるけれど、その日、その時の状況で優先度が違ってくるし心理状況も微妙に変化。いつもいつも平常心で働くのは難しい。特に子どもが小さい時は仕事場にいるのは「夫、それはこの子の父親」ということで、気はそぞろ。甘えがでてしまう。仕事にも子育てや家事にも、自分自身でさえバラバラな時だってあったけど、自営業の専従者であればこそ、なんとかやってこられたと思っています。民間会社だったらかなり難しい立場に立ち、厳しい選択をしなければならなかっただろうなと。
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しかし、ここで思うのですが、民間だろうと自営だろうと「今は何を優先させるか時か?」と自問すれば、自ずと道がついてくるもの。子育てか?仕事か?・・・若いうちは、経済的なゆとりなどなく貧乏でも体力、気力ともに前向きに生きてこられた。子どもがスクスクと成長する日々には、なにも不安など感じなかったのです。そして、子育てを通して大いに社会参加を楽しむことができました。
子育てをしながら、経済と教育は無関係じゃないな、と教えられました。教育制度やシステム、教育内容が時代の、特に経済界の要請を受けて変遷してきたのだと教えられました。子どもにとって最良の教育環境、生活環境を・・・と考える時、社会と無関係ではいられなかったのです。特に小さな県の地域社会に生活していると、知事さんや町長さんに直接お会いしてお話する機会が多く得られるメリットがありました。同じ考え、思いを持つ、同じ立場の友人、知人のネットワークが広がりました。いくつもの要望や思いを語り合い、知事さんや教育長、町長さんにもぶつけていきました。教育制度や教育行政、会議の開き方、PTAやNPO、ご近所さんとの付き合い方まで様々な体験、勉強をさせていただきました。全部がとても面白かった!
また、積極的に生活圏外へ出て、自分の考えに近いと思われる人たちの集まりに参加するなど、外から自分達の生活環境を見るということもヒントになったと思います。地方に暮らすけれど、どういう情報を得るかは自分のアンテナ次第。さび付いて電波が受信できないようでは、どこで暮らしていても同じこと。これ等に役立ったのが「ネット」です。こうして書き込んでいるのもネットならではのことですよね。「自分でアクセス」「自分から問いかける」そして「自分が判断する」という主体的な関わり方をしていくと、自ずと道が開けてくるようです。だから、「自分ひとりで子育てしているみたい」「世の中からとりのこされている感じ」と子どもの顔ばかり見ていないで、時にはその目を「外」に向けてほしいと思うのです。
ええ?ハナコさんは子育て期間中はほとんど仕事らしい仕事してきてないじゃない?って言われそうだけど決してそうではないですよ(笑)。みなさんが100%フルタイムで働いているとすれば、80%でショートタイムで働いてきたという具合かな。お給料や仕事の質よりは子育てを少しばかり優先させてきた、というわけです。仕事もしたい、子育てもしたい、と欲張りしないで。両立は出来ない。それほど、仕事も子育ても同じ「大きな仕事」なんですね。
だんなに「私は充分な働きができたか?」と問えば「NO」という返事だと思うけど、今はまだ評価を下す時期じゃないと考えている。まだまだ、これから先があるんですから。そして、今。子ども達がもう直ぐこの手から巣立っていくにあたって、この先をどう生きよう?と考え始めたのです。これがタイトルにある「三度目の人生設計」。年代とともに家族の形が変わり、ライフスタイルも変化してくるもの。そうそう、若い頃の夢だって捨てたわけじゃない!