きゃりあ・ぷれす

りーだーず・ぷれす
2010年3月24日号
「すべての仕事は編集だ。」 
増殖する秘密結社ISIS編集学校のすすめ   宮崎郁子
「秘密結社」とは穏やかじゃない、と思われるかもしれませんが、決してキケンな宗教や思想に基づいたものではありません。ただ深く静かに拡がっているネットワークの大きさに、ちょっと謎めいたそんな感じを覚えたのです。
ISIS編集学校に潜伏取材
「潜伏取材」?またもおおげさですが、実は2009年10月から、私はISIS編集学校の初級コース「守」に入門しして学衆(ISISでは受講者をこう呼びます)になったというだけです。
インターネットのメーリングリストを使って、週に2〜3のお題が出されます。これに答え、コーチ役の師範代の丁寧な指南を受けながら編集の型を学ぶというものです。「守」に関しては、もちろん苦労することもありましたが、遊びながら楽しんで学べるという要素が強いものでした。2月14日に無事卒門し、次の「破」のコースに進みます。こちらはちょっと力仕事かもしれないと、仕事とのからみで若干躊躇しましたが、ええい!いつでもおんなじことだ!と思い切り、続けて挑戦することにしました。
卒門時に開催される不思議なイベント「感門之盟」
さて、「守」コース卒門に際し、先日「感門之盟」というイベントがありました。
「守」卒門者、「破」突破者、ほか4つのコースを終了した学衆と、コーチ役とコーチの相談役である師範代、師範の約300名。そして松岡正剛校長と学匠、番匠、学林局の方々が集まった大イベントでした。(この学校では特別な言葉使いが多くて、そこも何だか秘密結社風?)
松岡校長が、すべての師範代、師範、ほか編集学校を支える方々に、特別に選んだ本や直筆の色紙を手渡し、労をねぎらう会です。もちろん、実際にお世話になった私たち学衆も共にお祝いします。
普通卒業式といえば、卒業する側が主人公というイメージがありますが、この編集学校では、指南してくださった師範代、師範が主人公です。

「守」コースを終えて、続けて次のステップ「破」に行くかどうか、実際のところとても迷っていました。ちょっと仕事も立て込んでいるし、「破」になると課題も「守」のようにちょっと遊び感覚で取り組むわけには行かない力技になりそうだと感じていたからです。
仕事でギューギュー、課題でギューギューではたまらないと思って、四分六でいずれタイミングを見て、と思っていたのですが、この会に参加して、あの舞台に上がらなきゃ話にならない、そのためにはとりあえず四の五のいわずに進「破」か・・・という思いがわいてきました。
式の後に行なわれた親睦会で松岡校長とお話しした際、「破に進む?」と訊かれ「もちろんです!」と答えてしまったのが決定打になったのですが。
すべての仕事、人の営みは「編集」だ!
ISIS編集学校は、本誌300号でご紹介した「誰も知らない世界と日本のまちがい」の著者でもある松岡正剛氏による練りに練ったカリキュラムとネットワーク形成のしくみを包含するバーチャルとリアルを組み合わせた教育システム(そして秘密結社?)です。

氏がこの学校を通じて、編集の型や方法を広く伝えようとしているのは、別にいわゆる編集の仕事をする人をたくさん養成しようというのではないようです。そこが普通の編集の講座とは全く違います。

では、何を目指しているのか?
松岡氏は、20世紀までに人間を取り巻く文化や芸術や学術などあらゆる分野で、要素はすべて出そろっていて、もうこれ以上新しい何かは出てこないといいます。にもかかわらず、世の中は決してより良くなっているとはいえない。それは編集が間違っているか、編集力が不足しているからだというのです。ものやことの見方や選び方、組み合わせ方こそ、これからの社会にとって最も大切なノウハウであり、何かを生み出す原動力だといいます。

いわゆる編集の仕事にとどまらず、あらゆる仕事はすべて編集であり、さらに仕事のみならず金銭を伴わない家庭生活や社会活動などすべての人の営みに編集力が必要なのだという強い思いが根底にあるようです。
私も、それには大いに共感します。私の携わっている分野からいえば、編集という言葉をデザインという言葉に代えてもいいでしょう。

ISIS編集学校「守」コース入門のすすめ
ISIS編集学校のサイトで、松岡校長は次のような挨拶を送っています。

======================================================
<自分を[守]り、情報を[破]って、新たな世界に[離]陸する。>
いま、社会はITが行き届いて、どんな情報も送り手の編集によって提供されています。こういう時代こそ一人ずつの情報編集力が問われます。自分で情報を切り拓き、自信を取り戻すことが生活にも仕事にも必要でしょう。
イシス編集学校は、私の長年の編集メソッドをもとに、誰もが発想力・企画力・表現力などを身につけられるようにした汎用プログラムで構成されています。
コロンブスの卵です。劇的です。高速です。変化に富んでいて力が湧き、仲間がふえ、世の中が見えてくると思います。すでに300名をこえる師範代がそのメソッドをネットと現場で伝授してくれています。
編集とはイメージをマネージすることです。会話も料理も、育児も営業も、政治も芸術も編集なのです。まず「守」を体験してみてください。それから「破」へ。最後の難関「離」は私のとっておきの秘伝です。では。
======================================================

いやとういほど情報が溢れかえっている時代、重要なものを残し、多数のその他を棄てなければ、私たちは情報の渦に翻弄されてしまいます。まずは、「守」のコースをのぞいてみてください。
次の「守」は、4月19日スタートです。まだまだ入門者募集中。興味のある方は、ぜひ下記URLをチェック!

http://es.isis.ne.jp/index_main.html
秘密結社でお会いしましょう。

なお、ISIS編集学校へのお問い合わせの際は、『きゃりあ・ぷれす』を見て、とひとこと!お伝えください。またもし入門されましたら、『きゃりあ・ぷれす』あてにメールでお知らせいただけると、読者の方も仲間にいる!と大変嬉しいので、そちらもよろしくお願いします。


「感門之盟」に参加した全員写真(中に私も小さくいます。)


私の旧暦美人ダイアリーには、松岡校長からいただいたサインが!(ちょっとミーハー?)