きゃりあ・ぷれす

りーだーず・ぷれす
2007年7月28日号
参院選 〜「災いをもって福となす」チャンスへの期待〜
小学生の頃「公明選挙」をテーマにしたポスターの制作は夏休みの宿題の定番でした。当時は毎年同じ宿題にうんざりしたものでしたが、今振り返るとそれは選挙への関心を育む教育の一環だったのかもしれません。政治家でも官僚でもない普通の国民にとっては選挙は唯一の政治参加の場です。たかが一票ではありますが、権利であり、義務でもあるわけです。
目前に迫った参議院選挙。『きゃりあ・ぷれす』からのメッセージを発行人宮崎よりお伝えいたします。
5月に発信した「ずぅーっと戦後でありたい。」の特集をお読みになった読者の方から、多くの嬉しい激励メールをいただきました。ありがとうございました。
一方、「『きゃりあ・ぷれす』何だかあやしい」と思われた方もいらっしゃるようです。何かバックにどこかの政治勢力や権利団体がついているのではないか・・とか。もしそう思われた方がいらしたとすれば、それは大変残念で悲しいことです。いち生活者として、当たり前に危惧することや思うところを発信すると、すぐ何かそれによる利益を得ているのではないかと思ってしまうような社会は大変悲しいと思います。
確かにリターンを全然期待していない訳ではありません。その期待とは、少しでも気持ちのいい社会に暮らせる、子供たちが夢をもてる社会を残せる、という期待です。
今号では、はっきり「それ以外ない」という宣言から始めたいと思います。どこをどうたたいても、いかなる利権も出てきません。
年金問題と憲法9条放棄の流れや拉致問題に通底すること
いよいよ参議院選挙が10日後に迫ってきました。今回の最重要ポイントは やはり安倍政権が標榜する9条放棄の道筋にYESなのかNOなのかだと思 いますが、今それは年金の大問題、更には相次ぐ閣僚の不祥事にかき消され ています。といっても、これらのことは全然別のことではないと思います。 底に流れている問題点は同じものと考えています。
●超長期政権の思い上がり(お上と下々という構図)
●政府や官僚の、国民の命や生活軽視のスタンス
●超長期政権とそれにあぐらをかいた行政機関の大怠慢

9条に関しては、すでに以前の号で書きましたので、ここではあらためて書くつもりはありません。けれども、それに関連して書いておかなくてはならないことに少しだけふれたいと思います。
このままでは北朝鮮方向の「みにくい国」になっていきそうな日本
以前の号で、この中見出しで書いた危惧が、その後報道された防衛省の反政府的言動に対する調査・監視資料によって、すでに始まっていたことが表面化しました。しかし、9条放棄の流れが強まってくると、こうした政府の言論統制につながりかねない動きが強化されることは間違いありません。
『きゃりあ・ぷれす』のような弱小メディアは当分関係ないとは思いますがこれからもっと目が光るようになれば、監視の対象になることだって考えられます。とはいえ、だからといって発言を控えるつもりはありませんが。
年金問題で崖っぷちの政府与党
年金問題は、私たち全員がとても明確に被害を被ることですので、大変身近でわかりやすい大問題です。超長期政権とあぐら行政への国民の怒りは、あまねく、そして強烈に高まっています。このまま参院選に突入したら、どんなに従順な国民も自民党を大敗北させるでしょう。このままではいけない!とおそらく政府自民党はさすがに焦っているでしょう。
危機感をもったときの自民党の選挙活動は、いつも以上に強力なのだそうです。どのようなことをするのか、影響を受けるような組織と全く無縁な私などには想像もつきませんが。業界団体や農協や、郵政関係(民営化造反組を復党させた効果が出るのでしょうか)などなどへの締めつけを強化するのでしょうか。
そしてまた、言うことをきいくれた組織への利権の提供を約束するのでしょうか。そしてまた、国民の税金や保険料が、それらの組織に配られるのでしょうか。
この大ピンチを脱するまともな方法
この大ピンチを脱するまともな方法は、”税金を一切使わず”(金額的に膨大すぎて全額は無理としても)歴代の社保庁長官、担当責任者、厚労大臣、社保庁監督責任者、そして総理大臣の責任に応じた相応の資産を没収し、その資金で外部人材も投入し、宙に浮いた記録に関して早期・徹底的に名寄せ調査、チェック、解明を図り、1年以内にその結果と個々人にいつからいくら支払われるのかを、被保険者全員にひとりひとり文書で通知する法案を通すことぐらいでしょう。当然社保庁一般職員もボーナスなしでしょうね。
ボーナス一部の自主返納などといったごまかしでは、何の役にも立ちません。しかし、現実的には国会も終わっていて、参院選までにそんな法案をつくれる訳もなく、もともと今の政権にそんな発想も肝っ玉もやる気もないと思えるので、まずそれは無理でしょう。
そうなると、私がとても危惧するのは、全く別のことで国民の目をくらますというやり方がとられることです。
崖っぷちの政府与党が、
起死回生の目くらましを画策することへの危惧
たとえば「北朝鮮」です。アメリカに泣きついて北朝鮮がらみの何かの事件を発生させるか、あるいはまだ使っていない拉致問題のような何らか過去の札があればそれを使うということが危惧されます。
7月20日ごろに、マンニョンボン号が入港するそうです。その際、また新たな拉致被害者が帰国するかもしれないという観測が流れています。それをどう使うのかよくわかりませんが、北朝鮮の悪逆非道さをもういちど大きくクローズアップして、年金問題から注意をそらそうとすることくらい なら想像できます。でも、そのくらいではあまり利き目はないのではないでしょうか。
北朝鮮がらみでなくても、イラクで自衛隊員が攻撃されるとかも考えられます。
もし参院選までの間にそのようなことがあり、だから9条を早く変えるべしみたいな気運の盛り上げがおこったら、日本政府およびアメリカ政府の工作の確率は大変高いと思います。与党が参院選の投票日を引き延ばす作戦に出たのも気になります。そんなことがおこらないことを祈るばかりです。その状況はまるで戦前の日本そのものだからです。国民の政府に対する不満を、外に敵をつくってそちらに向けてそらすというやり方です。
私たち国民が、
国の唯一最大のステークホルダーとしての権限を行使する時
いずれにしても、今回の参院選は、超長期政権に国民が怒りの鉄拳を加えるべき選挙です。そして政権交代の道筋をつくり、それでも現政権が納得のいく対応策を講じられない場合は、解散・総選挙を求めるべきです。残念ながら参院選だけでは、政権交代はおこらないんですね。
私が政権交代を強く望むのは、決して民主党に肩入れしているからではありません。政権交代なしの民主主義は、「にせもの」だと思うからです。年金問題は、まさに政権交代による政策や行政のチェックの構造が封印されてしまったが故におこった大問題として、象徴的でわかりやすい事例です。健全な政権交代がある程度のインターバルで繰り返されていれば、前の政権の施策や行政の業務内容がチェックされますから、ここまで問題を泥沼化せずにすんだ可能性は高いと思います。
また、国民の実力行使としては、総選挙まで待たずに、併行して先に書いたような方法を国民みずから求めていくやり方もあると思います。前述のような歴代の年金問題責任者に対して、損害賠償の民事訴訟をおこすなどのやり方です。
今、総務省が有識者といわれる人々による諮問委員会をつくって、歴代の責任者に何らか賠償を求めるような方向も示していますが、参院選までにちゃんとした処分を決定するまでには絶対に至らないでしょう。とにかくそうした動きを見せなければ参院選がどうにもならないので、やっているという感じです。もし現政府与党がそれほど大敗をしなくてすめば、きっとうやむやになるか、形式的なものになるでしょう。何しろ総務省にしてみても、結局官庁仲間を対象としていることです。それほど超長期政権にどっぷりつかった行政は信用できない存在というのが、残念ながら私の感覚です。
政権や行政への「処分」は、国民がするしかない。
一般の企業で、もしこのような大問題がおきたら、株主、顧客、従業員などのステークホルダーから、その損害に対する引責と賠償を迫られるでしょう。国の場合なら、国民がすべての立場を有するほぼ唯一のステークホルダーです。
また、ミートホープやコムスンやNOVAなどの一般企業の不祥事に対して行政処分という名の粛正がなされます。しかし行政に対しては誰が処分すればいいのでしょうか。仲間の官庁が本気で行政処分をするというのでしょうか。もしそれができるとしても、私たち国民のはっきりした意志表明が絶対必要です。結局私たちの意志表示と権限行使以外、この大問題解決の道筋をつける方法はありません。政権や行政への「処分」は、私たち国民がするしかないのです。
厳しい言い方をすれば、私たち国民もまた怠慢であったとういことです。そのツケが、今回はっきりしたかたちで自分達に振りかかってきたということだと思います。逆にいえば、この大問題を私たち国民が主体的に解決できれば、今後、もっといい市民社会をつくっていけるようになるのではないかと大いに期待できるのです。「災いをもって福となす」そんな契機になればいいと思います。
今回の選挙は、国民がステークホルダーとしての、また政権や行政の監視者としての力を発揮できるかどうか、「災いをもって福となす」という方向をつくりだせるかどうかの、とても大切な選挙だと思います。あらゆる目くらましに騙されることなく、本当の問題を見据えて選択したいものです。
もし今回のようなあまりにも明白な超長期政権の弊害と、ぬるま湯行政の実害が明るみに出た時に、はっきりした処分ができなければ、国民はさらに甘く見られ、ないがしろにされていくでしょう。
それでもいいという人以外は、全員参加の選挙にしたいものです。
選挙への参加には、期日前投票制度を大いに活用しよう。
与党の時間かせぎによって、投票日は7月22日から29日に変更になってしまいました。29日には夏休みの予定があるという人も沢山いることでしょう。かく言う私も、29日は旅行の予定にしています。
そういう時は、期日前投票制度を大いに利用したいものです。多分7月13日くらいから、各自治体関連の場所で投票できる制度です。ちょっと場所的に、通常の投票所よりは遠くなってしまう場合が多いと思いますが、やり方は通常の選挙とほとんど同様の簡単さです。(以前の不在者投票とは比べものにならないくらい簡単です。)
期日前投票制度の説明はいろいろなサイトでされていますが、長野県のものがわかりやすかったので、下記をご覧いただければと思います。 http://www.pref.nagano.jp/senkyo/change/pre.html

おそらくもう各選挙管理委員会から、選挙日とその日の投票所、期日前投票のできる場所や時間などの案内を受取っていらっしゃると思いますので、是非それをチェックしてみてください。
こんな呼びかけ、本来は政府や行政の役割です。形式的にはやるでしょうがあえて効果がないようにしているようにしか思えないのが現状です。悲しいけれどしかたがないので、微力ながら「きゃりあ・ぷれす」が呼びかけたいと思います。
長文を読んでいただきて、ありがとうございました。子供たちのために、もちろん自分たちのためにも、何とかしましょう!